中山和人弁護士「再生可能エネルギー法務 」共著が発行されます
弊所中山弁護士共著「再生可能エネルギー法務」 「再生可能エネルギー法務」共著・勁草書房 2016年9月21日販売 第一東京弁護士会環境保全対策委員会 Amazon販売ページ[外部リンク]
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離婚についての総論-後編 前回、挙げさせて頂いた「離婚する前に考えておくべき11の事項」について、具体的にどのようなことを検討しておかねばならないのでしょうか、ざっと見ていきたいと思います。 すぐに離婚すべきか、いったん別居すべきか いきなり大層な問題ですが、そこは難しく考えないでください。 協議離婚は、相手が応じてくれる限り、離婚届の自署部分へ署名して(さらに言えば自署部分を代書してもらうことも可能ですが。)、必要部分を補充の上、役所へ提出すれば、いつでも容易にできてしまいます。そうだとしますと、余程の事情がない限り、すぐに離婚すべきではなく、いったん別居して、離婚後の生活について冷静に考える機会を設けるべきと言えます。離婚後の生活を具体的に検討しないまま、言い換えれば金銭の問題を解決しないまま離婚の成立を先行させてしまうとこんなはずではなかったということになりかねません。離婚後も養育費や財産分与の請求はできますが(財産分与は離婚後2年間に限られます(民法768条2項)。)、夫(又は妻)といったん他人になると、まずもって容易には払ってくれません。しつこいようですが、離婚に関連する金銭問題の交渉を有利に進めるためにも、離婚の成立というカードは大事にとっておいてください。なお、こちらの意に反して相手が離婚届を出してしまう恐れがある場合には、事前に「離婚届不受理届」を役所へ提出し、意に反する協議離婚を防いでください。 別居する場合に生活費(婚姻費用)をどうするか では、当面、別居することとして、夫婦で同居していた家から出ていくのかは自分か相手かを考えなければなりません。持ち家か否か、持ち家だとすると誰の名義になっているのかを考慮の上、最終的に自分が出て行くとなると賃貸を借りることになるでしょう。その際の初期費用(仲介手数料を含む)と引越費用で、余裕をみて月額賃料の5ヶ月分程度はみておくべきでしょうか。いずれにしても、別居中といえども、夫婦には相互に扶助義務がありますので、婚姻生活を維持するための費用(以下、「婚姻費用」といいます。)を相互に分担することになります。通常は、収入の多い夫から収入の少ない妻に金銭を支払うことで行われます。適切な婚姻費用がいくらかは双方の収入や別居に至る事情等を総合考慮して決せられます。具体的な婚姻費用の目安は裁判所の下記ホームページの養育費・婚姻費用算定表より御確認ください。 → 東京家庭裁判所:養育費・婚姻費用算定表 相手が適切な婚姻費用を任意に支払わない場合、調停を起こし、調停で合意に至らなければ審判という形で裁判所により婚姻費用額を決定してもらうこととなります。裁判所が審判を出してくれればもう安心かというと決してそうではありません。ここからさらに、相手の財産を調査して、強制執行が奏功して初めて婚姻費用の回収が実現される、ということとなります。 ・・・・婚姻費用の回収をするだけでも相当な手間と時間がかかりそうな雰囲気ですよね。そんなことをやっている間にも、毎月の生活費の支払いは待ってはくれません。そんな切実な要望に応えるため、平成25年1月1日より施行された家事事件手続法では調停申立時に審判前の仮処分の申立てを認めら(家事事件手続法105条1項、157条1項2号)、婚姻費用の仮払いが迅速かつ簡易に実現されるようになっています。 離婚する場合で財産分与の対象となる財産はあるか、あるとしてその分け方をどうするか 互いの懐事情についてオープンな夫婦であれば財産分与の対象となる財産の有無は比較的判断しやすいと思いますので、ここではオープンではない夫婦を念頭に考えてみます。まず、財産分与の対象となる財産が何かということですが、夫婦双方が婚姻中に協力して得た財産を指します(民法768条3項)。夫婦の一方が婚姻前から有する財産と婚姻中自己の名で得た財産(特有財産)と呼びますが(民法762条1項)、この特有財産は財産分与の対象となりません。そして、相手が管理している財産に関する情報をどのように得るのか、ということですが、1番簡単なのは郵便物です。不動産については固定資産税の請求書、有価証券や預貯金については証券会社や銀行からの取引履歴等の通知が届いているはずです。将来の不測の事態に備えてそれらの情報を少しずつ収集しておくべきでしょう。そして、夫婦共有財産の原則的な分け方は2分の1とされています(いわゆる2分の1ルールと呼ばれます。)。一方で、財産分与を考える際に忘れてはならないのは夫婦が婚姻生活の中で負担した住宅ローン等の債務も財産分与の対象となるということです。具体的には夫婦共有財産の場合と同様に夫婦が債務を2分の1ずつ負担し合うことになります。 慰謝料請求するか、するとして請求金額をいくらとすべきか 先生、慰謝料はいくら請求できますか、弁護士をしていて離婚の相談を受けていると最もよくされる質問のうちの一つです。 日本の裁判所が離婚訴訟に伴い慰謝料請求を認容する場合の慰謝料額は100万円~300万円の範囲に収まるケースがほとんどです。裁判所が最終的に認定してくれる額がその程度であるということを念頭に置けば、請求すべき金額も自ずから決まってくるというものです。あまりに高額な慰謝料を請求することは、裁判所からの印象は余りよろしくない、と個人的には考えています。そして、慰謝料請求を誰にするかということですが、分かり易いところで、浮気が原因で離婚する場面では、夫(又は妻)とその浮気相手の両方、又はどちらか片方だけを相手にすることも可能です。ただ、支払い能力の点から両者を相手とすべきでしょう。なお、慰謝料請求権は3年間で時効消滅(民法724条)してしまいますので注意しましょう。 子がいる場合に親権者や養育費をどうするのか お子さんがいらっしゃる場合、親権者を夫婦どちらにすべきでしょうか。お子さんの幸福を第一に夫婦の話し合いを尽くして親権者を決定してください。親権者について争いとなった場合、日本の裁判所では、夫が働き、妻が家庭を守るという旧態依然の典型的なケースでは、原則として親権者は母と指定されるのが通常です。親権者を父と指定する場合は、母が子に虐待をしていた等の特別の事情が必要であると認識しておきましょう。養育費は、夫婦の収入を基準として、その他の事情を総合考慮して決せられます。期間は、近年では大学卒業までとされるのが一般的です。仮に、養育費が月額5万円でも12ヶ月で60万円となり、それが10年だと600万円ということになります。これを一括で請求することもできますが、支払能力の問題から通常は月額分割払いとなります。具体的な養育費の目安は先程も紹介しましたが裁判所の下記ホームページの養育費・婚姻費用算定表より御確認ください。 → 東京家庭裁判所:養育費・婚姻費用算定表 離婚後の子と親権者でない親との面会交流をどうするか 親権者でない親から他方に対し、子との面会交流が求めることができます。これは法的な権利であると考えられています。この実現のためには、面会交流の日時、場所、面会方法、頻度、立会人の有無、面会にかかる費用の負担者などを取り決める必要があります。これについても合意に至らない場合には、調停・審判を経る必要があります。なお、面会を認める審判が出た場合でも、嫌がる子を無理矢理連れて親権者でない親との面会をさせるという直接的な強制執行は許されず、面会の履行命令に従わなかった親権者に対し金銭の支払いを命ずるという間接的な強制執行しか許容されていません。そうすると、いったん親権者となった親が強引に子との面会をさせないということも可能になりそうですが、先日、福岡家庭裁判所において、面会拒否を理由として親権者を変更する、という非常に珍しい審判が出ましたので、興味のある方は御確認ください。 離婚後の姓をどうするのか 婚姻により姓を変えた夫又は妻は、離婚により、以前の姓に戻ります(民法767条1項)。ここ夫婦別姓を導入するかどうかが長年に渡り、議論されているところですが、未だその見通しは立っていない状況です。そのため、我々は現行法を前提として動かざるを得ません。姓が元に戻ることにより、キャッシュカード、クレジットカード、年金、健康保険、その他生命保険を始め、あらゆる社会生活において姓の変更手続きをしなければなりません。これは、姓の変更手続きを強いる者に対し、アイデンティティを喪失させるに足りる一大事です。そこで、民法は影響を最小限に抑えるために離婚日から3ヶ月以内に届け出ることにより、離婚の際の姓を称することができることしています(民法767条2項)。 相手方の支払能力の有無 離婚に関連して、相手方から婚姻費用や慰謝料の支払いや財産分与をしてもらうことになったものの、既に相手方の財産が散逸してしまって支払能力がないなんてことはなんとしても避けなければなりません。日頃から、相手方が使用している金融機関(できれば支店名まで)、就業先、交友関係に関する情報を確保し、いざ強制執行をしなければならなくなった時に迅速に手続きに着手できるよう備えておくべきです。 年金分割の割合について 年金分割とは、夫婦の一方のみが働き、厚生年金保険等の被用者年金の被保険者等となっている夫婦が離婚した場合、婚姻中働いていなかった妻(又は夫)が働いていた夫(又は妻)の標準報酬等の分割を受けることができるとする制度です。通常は、分割割合は原則として2分の1です。これは財産分与の場合と同様と覚えておいてください。年金分割ができるかどうかは、年金事務所へ情報提供通知書を請求することで確認できます。年金分割の具体的な方法については日本年金機構の下記ホームページを御確認ください。 なお、年金分割を請求できる期間は離婚から2年以内ですのでご注意ください。 別居ないし離婚後の仕事について 別居後ないし離婚後に就職活動をされると、年齢、職歴にもよりますが、就職口が予想外に狭いことを実感されるかと思います。その意味でも、婚姻中から手に職を付けておくことが理想的と言えます。 弁護士に相談する時期について 夫婦の将来について少しでも不安を持たれている場合には、一刻も早く、弁護士へ相談されることをお勧めいたします。近年インターネットの普及により、一般的なアドバイスは巷に溢れかえっています。しかし、夫婦関係は千差万別であって、一般的なアドバイスがそのまま使えるケースは皆無と言って過言ではありません。 労を厭われず、できるだけ早く、弁護士へ直接ご相談されることをお勧めいたします。すぐに弁護士に相談したい、そんな方は黄櫨(ハゼノキ)綜合法律事務所まで下記フォームにてお問い合わせ下さい。
離婚についての総論-前編 今回は離婚の種類とそれぞれの特徴を説明させて頂いた上で、今後どのようなことを考えて行かなければならないのか、といった総論的なお話をさせて頂きたいと思います。 離婚の種類とそれぞれの特徴について 離婚の種類には、大きく分けて①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚の三種類があります。 まず、①協議離婚は、第三者の関与なくして、夫婦で合意することさえできれば離婚することができます。この方法によれば、他人に知られたくない離婚に至る事情を第三者に説明する必要はありませんし、基本的に費用もかかりません(合意内容を公正証書化する場合に実費がかかるくらいです。)。その意味では最もお手軽な方法と言えます。 ただ、お子さんがいらっしゃる場合には親権者を誰にするかについても合意しなければなりません。 また、財産分与や慰謝料、養育費といった金銭的な問題についてもあわせて合意しておく必要があります。この点に関して、協議離婚を先行させて、後日、金銭的な問題について話合いをする、という方法が有り得ますが、こちらの立場にもよりますが夫婦それぞれが少しでも早く新しい人生をスタートできるよう、そのような方法は避け、可能な限り夫婦間に生じ得る法律問題の一切の解決を目指すべきですのであまりオススメできません。 次に、②調停離婚についてですが、裁判所という第三者の関与の下、夫婦で合意することができれば離婚することができます。 離婚調停では裁判所に所属する調停委員会(審判官と通常男女各1名の調停委員から構成され、当事者は主として調停委員とやりとりをすることとなります。)と呼ばれる第三者が夫婦の間に入る形で、双方の話を聞き、離婚の話し合いによる合意を目指します。第三者に離婚に至る事情を説明しなければなりませんが、公平な解決に向けて恥を捨てて事実を洗いざらい説明してください。調停では基本的には夫婦が同室になることはなく、一方が調停室に入って調停委員と話をしている間、他方は別室で待機し、一方の話が終わると入れ替わって他方が話をするというのが一般的なやり方です。入れ替わりの際には、夫婦相互に直接顔を合わせないような配慮をしてもらえますので、相手と顔を合わせずに調停手続きを進めることは十分可能です。 なお、調停離婚が成立しますと「調停離婚」という言葉が戸籍に明記されることになりますので、戸籍の記載から離婚でもめたことが客観的に読み取れる状態になってしまうのがマイナスと言えましょう。ただ、この問題については調停の合意方法に仕方次第で回避することが可能です。 調停離婚のデメリットとしては、相手が出頭しないと話合いにならないですし、最終的に調停で合意に至らなければ意味がないという点です。最高裁判所の統計によりますと、離婚調停の平均審理期間は5ヶ月程度(1ヶ月に1回程度の頻度で期日が開かれます。)とされますがそれが徒労に帰す場合があるということです。ただ全く意味がないかとうとそうではなく、調停前置をしたという意味(裁判離婚を起こすためには前に調停手続きを経ている必要があります。)では一歩前進とは言えます。 最後に、③裁判離婚についてですが、裁判所が夫婦の双方からの主張と証拠を検討した上で、一刀両断的に離婚を認めるか否かの結論を下します。 離婚を求める当事者は、裁判所に対し、民法の定める離婚原因(民法770条1項)があることを具体的に主張し、その裏付け証拠を提出していかねばなりませんし、これに対して反対当事者は先の主張に反論し、また、その裏付け証拠を提出していかねばなりません。このようなやり取りを数回の期日を重ねて、争点を整理した上で、証拠調べと呼ばれる尋問手続きを経て、判決が下されるというのが一般的な流れとなります。最高裁判所の統計によりますと、離婚訴訟の第一審の平均審理期間は調停より長く15ヶ月程度とされます。なお、離婚訴訟が継続している間でも、当事者に話合いの機運が高まった場合にはいつでも話合いによる解決は可能です。 裁判まで発展したということは、夫婦での話合い(調停含む)による解決が不可能であったということですから離婚の成否が最大の争点となっているはずです。そのような状況で最終的に裁判所が離婚を認めるか否かの結論を下すわけですが、一方当事者の満足は他方当事者の不満足を意味することになります。その結果、第一審判決が出て事件が直ちに解決ということにはならず、第一審判決に対して上訴(控訴、上告)がなさなれて、事件の確定が往々にしてどんどん遅らされてしまいます。 離婚する前に考えておくべき11の事項について 離婚したいという気持ちが先行しますと、実際に離婚した後のことを冷静に考えないまま突っ走ってしまい離婚だけ先行させてしまうということがよくありますが、あとあとこんなはずではなかったということにもなりかねません。 離婚する前に考えておくべき11の事項を以下に列挙しました。 ペンと紙を準備頂いて、各事項についてそれぞれ真剣に考え、書き出してもらえないでしょうか。 すぐに離婚すべきか、いったん別居すべきか 別居する場合に生活費(婚姻費用)をどうするか 離婚する場合で財産分与の対象となる財産はあるか、あるとしてその分け方をどうするか 慰謝料請求するか、するとして請求金額をいくらとすべきか 子がいる場合に親権者をどうするか 離婚後の子と親権者でない親との面会交流をどうするか 離婚後の姓をどうするのか 相手方の支払能力の有無 年金分割の割合について 別居ないし離婚後の仕事について 弁護士に相談する時期について すぐに弁護士に相談したいという場合は下記のフォームをご利用下さい。[続きの記事を読む] 最後までお読みくださいましてありがとうございました。
離婚の手続きについて 今日は、離婚の手続きについて書こうと思います。 離婚の手続きには大きく分けて、①協議離婚、②調停離婚、③裁判(訴訟)による離婚の3つの手続きがあります。 まず、①協議離婚です。 協議離婚は、その名のとおり協議、つまり話し合いによる離婚ですので、離婚の理由が何であるかを問わず、夫婦双方に離婚する意思があり、離婚届を役所に提出して受理されれば、離婚をすることができます。 ただし、財産分与の問題、慰謝料の問題、養育費の問題等、離婚にあたって決めなければならないことを決めておかないまま協議離婚を行ってしまうと、その後、これらの問題についての相手方との話し合いが難しくなるなど、協議離婚によってかえって問題が複雑になってしまうこともあります。この点には注意が必要です。 次に、②調停離婚です。 離婚について、当事者同士での話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に調停の申立てをします。いきなり裁判(訴訟)によって離婚を請求することは法律上できません。必ず調停を試みてから訴訟をすることとなります。 調停を申し立てると、調停期日が指定され、当事者双方と代理人弁護士が家庭裁判所に呼び出されます。調停期日においては、当事者双方が、それぞれの法律的、事実的な主張をしたり、証拠を提出したりして、それらを踏まえて、調停委員が、中立の立場から話し合いをあっせん(仲立ち)したり、公平妥当と思われる解決案を示したりします。調停委員は、双方当事者の様々な言い分を良く聞いてくれますが、弁護士が関与して、効果的かつ整理された主張・証拠を行ったほうが、手続がスムーズに進行することが一般的です。 調停において、当事者間で合意が成立したときは、調停調書が作成されます。この調書の記載は、確定判決と同一の効力を持ちます。離婚を認める内容の調停が成立した場合は、調停成立後10日以内に、調書の謄本を持って役所に離婚届を提出すれば、離婚が成立します。 これに対し、調停では合意が成立しなかった場合には、通常は、離婚訴訟の提起を検討することになります。 最後に、③訴訟(判決)による離婚です。 離婚について、調停で合意が成立しなかった場合には、離婚を希望する当事者は、訴訟を提起することができます。そして、訴訟の結果、離婚を認める判決が下された場合には、相手方の意思にかかわらず、離婚が成立することになります。 判決によって離婚が認められるためには、法律上の離婚原因が存在することが必要です。つまり、離婚訴訟を提起をしても、こちらの主張や証拠等によって法律上の離婚原因が認められなければ、離婚できるわけではないということです。法律上の離婚原因については、民法770条第1項に規定があります。 1号 配偶者に不貞な行為があったとき 2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき 3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき 4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき 5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき 婚姻関係が破綻して回復の見込みがない場合です。婚姻関係の破綻とは、夫婦が婚姻継続の意思を喪失しており、婚姻共同生活を回復する見込みがないことをいいます。婚姻関係が破綻しているかどうかの判断においては、別居の有無や別居の期間が重視されます。 他方で、性格の不一致といった理由だけでは、基本的に、「婚姻を継続し難い重大な事由」には該当せず、判決によって離婚が認められることはないものと考えられています。 以上が離婚の際の手続の概要です。 当事者間の合意で離婚がスムーズにできれば良いですが、相手方との離婚の際の財産分与や養育費等の条件や、明確な法律上の離婚原因がない(離婚原因を証明できない)などの理由により、簡単に離婚できない場合も少なくありません。ご自身やお子様の将来のことをきちんと考えて、まずは弁護士に相談するなどして早めに行動すること必要となります。 弁護士 中山和人
離婚の際の財産分与について 今回は、離婚の際の財産分与について少し書きます。 婚姻期間中に夫婦で協力して蓄積した財産を、離婚にあたって清算するのが、財産分与です。 現在の考え方では、特別な事情がない限り、共働きか片働きかにかかわらず、夫婦の貢献度は互いに等しいとされることが一般的です。 財産分与は、あくまでも夫婦で協力して蓄積した財産が対象です。不動産、有価証券、預貯金などです。 他方で、夫婦が婚姻前から所有していた財産や相続によって得た財産は、財産分与の対象にならないのが通常です。これを特有財産といいます。また、別居開始後に得た財産についても、夫婦で協力して蓄積したとはいえないことから、財産分与の対象とはならないことがあります。 これら財産分与を検討する際に、実際上相手方の財産が分からないということも多くあります。相手方がこちらの知らないうちに銀行口座をつくってそこに預金している場合などです。 調停などであれば、家庭裁判所で調査嘱託をしてもらうのが良いですが、どこの銀行のどこの支店にその相手方名義の銀行口座があるかも全く手掛かりがりがなければ、それも困難を極めます。ですので、一緒に同居しているうちから相手方の財産について、注意深く観察し、可能な限りは調査しておくと良いでしょう。相手方名で送られてくる郵送物等も手掛かりになることがあります。 弁護士 中山和人
離婚の方法と弁護士 日本の夫婦の3組に1組は離婚しています。 あなたも日々の結婚生活において、配偶者に対する不満から離婚を考えたことはありませんか? しかし、いざ離婚しようと思っても、どのような手続きをすれば良いか、どのような準備が必要なのか、いざとなってみるとなかなかわからないものです。 そこで、今回は離婚の入門として、離婚の制度について見ていきましょう。 離婚の制度としては、①協議離婚②調停離婚③裁判離婚があります。 協議離婚とは、夫婦がお互いに離婚について話し合いをして合意に至れば成立する方法です。 子どものいる夫婦については、どちらを親権者とするかを決めなければいけません。もちろん、財産分与や子供がいる場合は養育費、慰謝料の発生原因がある場合は慰謝料の金額などの金銭的な条件を決めることもできます。 このように、協議離婚については、夫婦当事者間での話し合いによって離婚の条件を決めることができるため、話し合いさえまとまればお金をかけず、スムーズに離婚をすることができます。 しかし、あくまで当事者間での話し合いにすぎないため、配偶者の一方にとってかなり有利な条件で離婚せざる負えなくなってしまうこともありえます。 また、離婚時の話し合いで、財産分与や養育費の支払いの約束をしていたとしても、いざ離婚してみると、元の配偶者から養育費等の金銭が支払われないといったトラブルが発生する可能性があります。 そこで、これらのトラブルを未然に防ぐため、夫婦間での話し合いでの離婚であっても、事前に弁護士に相談することをおすすめします。協議離婚は第三者が関与しない点で離婚条件の内容が公平な内容になっているのか、当事者間ではなかなか判断しづらいものです。法律の専門家である弁護士を入れることで、離婚条件が公平な内容になっているのか確認した上で離婚協議書を作成することができます。さらに、離婚の条件となっている財産分与や養育費の支払い等についての履行を確保するために公正証書の作成を弁護士に依頼することによって、財産分与や養育費の未払いのリスクを下げることもできます。 離婚後の生活の新しいスタートをスムーズにするためにも、ぜひ一度法律の専門家である弁護士にご相談されると良いと思います。 調停離婚について説明します。 調停離婚は、家庭裁判所において第三者である調停員を介して、離婚の条件等について話し合いを進める手続きです。離婚自体や離婚の財産分与・親権・養育費・面会交流などの条件の話し合いが夫婦同士では冷静に進めることができない場合に利用されます。原則、本人が出頭することになります。離婚調停の申立費用も低いので比較的利用しやすい方法であるといえます。そのため、本人だけで調停の期日に出頭し、離婚や離婚条件を調停委員を介して決めることもできます。 調停は協議離婚とは異なり、第三者である調停委員がいるため、ご自身の主張を法的に筋が通った内容で説明することが必要です。あなたの相手方に対する不満を調停委員にぶつけたとしても、あなたに有利な離婚条件にまとまるものではありません。最近では、インターネットの離婚に関する記事や法律事務所の無料相談を回って勉強した内容に基づいて調停の準備をする方もいるようです。 しかし、参考にしたインターネットの記事はあなたの離婚と状況は全く同じなのでしょうか?前提が異なれば、あなたの事案にふさわしい法的な主張をすることは難しいと思います。また、普段仕事をしている方は忙しい合間をぬって調停の準備をしなければならず、肉体的にも精神的にも負担がかかります。さらに、調停を申し立てる際は申立ての書面や答弁書を作成しなければなりません。調停では第三者である調停委員がいるため、協議離婚より手間と時間がかかります。 そこで、調停離婚をご検討の際は、ぜひ弁護士に依頼し、調停に同席してもらうことをおすすめします。弁護士に依頼すれば法的観点からあなたの主張を分析し、調停に提出する書面を作成してもらえますし、なにより法律の専門家であることから、相手方のペースに巻き込まれずに離婚の条件について話し合いをすることができます。また、調停成立の際の調停条項についても依頼者が不利になるようなものが無いか、離婚後にも離婚条件に定めた養育費の支払や面会交流の履行が確保されるための条項があるか確認することもできます。 このように、調停離婚においても弁護士に依頼し同席させることによって安心して話し合いを進めることができるというメリットがあります。 裁判離婚について説明します。 裁判離婚は、調停が不成立となった場合に、当事者の一方が、裁判所に対して配偶者との離婚を求める訴訟(人事訴訟)を提起するものです。 裁判で離婚が認めらえるためには、民法770条の離婚事由があることが必要です。さらに、裁判になった場合は訴訟手続が複雑で、なかなかご本人だけで対応することは大変なことです。裁判離婚の際にも、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、本人の口頭弁論への出頭の必要は原則として不要になりますし、弁護士は訴訟に慣れているので安心して裁判を任せることができるからです。 以上のように、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚のいずれも法律の専門家である弁護士があなたに不利な離婚条件にならないようにすることができます。これから離婚を検討している方は早めに弁護士に相談し、今後の新しい生活をスタートさせましょう。 弁護士 堀口 梨恵
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離婚で父親が親権を勝ち取るために必要なこと 親権はやはり母親が有利? 親権は母親が有利です。これだけは、申し訳ございませんがはっきりとした事実です。 もちろん父親が親権を獲得することもありますが、現状、日本では8割以上が母親に親権が渡っています。 まず、子どもの年齢が低ければ低いほど母親に有利となります。 10歳以下は望み薄、3歳以下ならほぼ母親に親権はわたってしまうことでしょう。 父親よりも母親の方が母性を持ち、我慢強く育児ができると判断されてしまうようです。 また、イクメンという言葉がブームとなって久しいですが、この言葉は「子どもは母親が育てるもの」という風潮に裏づいているものです。 つまり、父親がメインで育児をする家庭が少ないことを示しています。 男性は仕事を持っているため日中留守にすることも多く、どうしても母親に育児を任せてしまう人が多いのでしょう。 これにより、子どもと接する時間が多い母親が有利と判断されやすくなるわけです。 離婚において親権取得は母親の方が圧倒的有利である中、父親が親権を獲得することも決して不可能ではありません。 子どもの年齢は動かしようがない事実であるため対策のしようがありませんが、それ以外の部分については父親でも親権を勝ち取るために動くことができます。 それでは、父親が親権を獲得するためにはどのようなことが必要となるのでしょうか? 父親が親権を獲得するためにすべきこと まず何をおいても「子どもは母親が育てるもの」を逆転させることが必要です。 婚姻生活の中で育児を行っている方が親権獲得に有利に働くのは周知の事実です。 前述した母親が有利と判断されやすい子どもと接する時間の多少は、父親が育児を行うことで逆転することができます。 夜は早く帰宅して子育てに大きく貢献することが大切です。 休日は自分がメインで子育てを行い、食事の世話や入浴、おむつの交換など一通りの育児をこなすようにしましょう。 とくに共働きの家庭ですと、このような育児への貢献は親権を勝ち取るために大きく有利に働きます。 また、調停で自分が親権を得たいばかりに母親の悪口ばかりを並べてしまうのは印象が悪くなるだけなので避けましょう。 母親に劣っている点があるならば、証拠をもって事実として述べることが大切です。 父親が親権を獲得しやすい例としては、母親の監督責任に問題がある場合や、母親が出ていくなどして別居状態にある場合なども挙げられます。 しかし、これらの状況は狙って生み出せるものではありません。 日頃から子どもに対し愛情をもって接し、育児を「手伝う」のではなく「自ら行う」ことが大切です。
離婚後に支払われるべき子どもの養育費について 養育費の意味と義務 子どもを育てるためのお金が養育費であることは言うまでもありません。 「育てる」は子どもに関わる全ての事柄に関係します。 そのため、衣食住などの生活費や学校の教育費はもちろん、医療費や健全に遊ぶためのお金も含まれています。 養育費はどちらに親権があるかに関わらず全ての親に支払う義務があります。 ここで間違ってはいけないのは、養育費は別れた相手のためのものではなく、子どものためのものであるということ。 離婚する前と後で生活水準が変わってしまったら、子どもにとって悪い影響になることはあっても良い影響にはなり得ないでしょう。 ですから、最低限生活できるレベルのお金を支払うのではなく、婚姻時の生活水準を保てる程度の養育費の支払いが原則となります。 法律用語では「生活保持義務」と呼ばれています。 監護権を持っている親が監護権を持っていない親に養育費を請求することは、当然の権利なのです。 もし、非監護者が養育費を支払うことで生活に支障が出たとしても子どもには関係ありません。 余裕があるから払うものと考えている人も一部いるようですが、婚姻時の生活水準が保てる金額は身を削ってでも出さなければならないものなのです。 また、養育費は子どものためのものですので、ケースによっては子どもが直接養育費を請求することも可能です。 養育費の金額はどうやって決めるの? よく、海外のビッグスターが養育費として数億円払っている…などとワイドショーで騒がれたりしますが、あまり身近に感じる人はいないでしょう。 では我が国日本では離婚後の養育費をどのように決めているのでしょうか? まず、基準として用いられることが多いのは、養育費算定表というものです。 これは各家庭の事情は考慮せずに、収入と子どもの数と年齢だけで「このくらい」という標準的な金額が明確に示された表です。 もちろん養育費はこれら要素だけで判断することはできませんから、表を用いないで算出する方式もありますが、統計では子ども1人で2~4万円程度と言われています。 養育費はいつまで払えばいいの? 実は養育費を支払わなければならない期間は法律で定められていません。 義務教育を終えれば義務外になるから養育費の支払いを終える、というパターンもあれば、 子どもが社会に出て一人立ちするまでは育てる義務があるとして大学卒業まで養育費を支払うパターンもあります。 それぞれの家庭によって事情は変わってきますし、生活環境もずっと一定という方が少ないでしょう。 離婚の際に、お互いにとって、また子どもにとって最適な養育費の支払いを取り決めておくべきです。 子どもが大人になるまでは法律的な問題なども多くなりがちですので、離婚時に信頼できる弁護士を見つけておくと良いでしょう。
離婚に際して決める必要のある重要な事柄とは 離婚が決まったらすべきこと 離婚に至る理由は人それぞれではありますが、離婚が決まったらしなければならないことは大方同じです。 結婚同様離婚も一生に一度あるかないかのできごとですので、何から手をつけていいのか分からない!とうろたえてしまうのもわかります。 子どもがいるかいないか、夫婦の仕事の有無などでもやらなければならないことは大きく変わってきます。 そこで今回は、離婚する時に決めなければならない様々な事柄を学びましょう。 子どもがいる夫婦 ○親権はどちらが持つか? 未成年の子どもがいる夫婦が揉める一番の要因は、ズバリ「親権」です。 父親にとっても母親にとっても我が子は大事なものですから、両者が親権を主張する気持ちはよく分かります。 しかし、離婚という選択をする以上、必ずどちらか片方のみが権利を持たなければなりません。 親権を決める際は、夫婦の様々な事情を包括的に考慮することになります。 例えば、子どもが成人するまで育てられる経済力がなかったり、子どもに対する愛情が欠落している場合は当然親権を勝ち取ることはできません。 また、親権を持っていない側の親と子どもの面会等についても併せて決めておきましょう。 元配偶者と子どもが勝手に会っていた!といったトラブルも度々発生するものです。 ○養育費はどちらが払うか? 子どもを育てるにはお金が必要です。 子どもを成人まで育てられる経済力があるかどうかは親権の獲得に関わってくる事項ではありますが、親権を得ようが得まいが子どもの親であることに変わりはありません。 つまり、親権者でなくても養育費を支払う義務は発生するということです。 たとえ子どもを実際に養育する方に仕事があり、一定の収入があったとしても、いつ体調を崩して収入が無くなるかわかりません。 口約束ではなく、しっかりと取り決めておくことが大切です。 全ての夫婦にとって重要なこと ○戸籍はどうする? 結婚する時に夫の名字にしたという女性は多いかと思われますが、離婚した際は旧姓に戻すかどうか選ぶことが出来ます。 子どもがいる場合は夫の姓をそのまま名乗るというケースもありますが、その後で再婚しさらに離婚となった際、生まれた時の姓に戻ることはできなくなるので注意が必要です。 ○財産はどうやって分ける? いわゆる財産分与の問題です。 結婚している期間、夫婦二人で蓄えた財産は、離婚時に分割することになります。 婚姻前や別居後に溜めた財産に関しては夫婦二人で協力して蓄えた財産とは言い難いため分与の対象にならないことはありますが、基本的に婚姻関係にあった期間に増えた財産は全て夫婦二人のもの、と考えられます。 円満離婚でも財産分与は必要ですから、どう分ければいいのか分からない!という場合は法律のプロにお任せするのが一番です。 ○慰謝料は必要? 離婚問題で良く聞く「慰謝料」。円満離婚のときはもちろん必要ありません。 ただ、パートナーから精神的な苦痛を受けたことが原因で離婚する場合はしっかりと請求しましょう。 慰謝料の額はケースバイケースではありますが、一人で立ち向かうのは骨が折れます。 相手に慰謝料を求める場合は、法律事務所へご相談ください。